ヘリコバクター・ピロリ感染症
1・ヘリコバクター・ピロリとはどんな細菌なのでしょうか?
口から感染する細菌で、胃に様々な障害を与えると言われております。 胃酸の強い(強酸)環境の下でその酸を中和して棲息しています。 粘膜の表面に付着したり、細胞の間に入り込んで増殖し、 胃粘膜に色々な障害を与えるのです。 |
2・ピロリ菌が、胃の中にいるとどんな病気が起こるのですか?
胃炎や消化性潰瘍(胃・十二指腸潰瘍)の原因として重要な役割を果たしていることは明らかとなっています。 その他に胃MALTリンパ腫、胃癌、委縮性胃炎、過形成性ポリープ、 鉄欠乏性貧血、慢性蕁麻疹などの原因と考えられています。 |
3・ピロリ菌と胃癌の発生に関して
ピロリ菌と胃癌の発生に関して、1994年にWHOが、「ヘリコバクター・ ピロリは、確実な発癌物質(definite carcinogen)である。」と認定しています。 ピロリ菌感染者では、ピロリ菌(-)の群に比べ、約6倍のの発生リスクと なるという報告もあります。 また最近では、今まで胃癌の発生母地の一つと考えられていた萎縮性胃炎が、 ピロリ菌感染と大きく関与している事実が明らかになりました。 2008年に、内視鏡切除術を受けたピロリ菌(+)の早期胃癌患者を除菌群と 非除菌群に分けて3年後の再発を調べたら、非除菌群は3倍の発生率でした。 そこでヘリコバクター・ピロリガイドラインでは“ヘリコバクター・ピロリ 感染症”を除菌適応疾患とすることに決定した。 |
4・ヘリコバクター・ピロリ感染症の治療(除菌)
除菌療法は、胃酸分泌抑制薬(プロトンポンプ・インヒビター)に加えて 抗生物質の2剤(アモキシシリンとクラリスロマイシン)の3剤を同時に 1日2回7日間経口投与する方法です。除菌率は約80%です。 除菌がうまくいきますと、胃・十二指腸潰瘍の再発を抑えることが出来ます。 |
5・ヘリコバクター・ピロリの除菌判定
当院では尿素呼気試験、便中ヘリコバクター・ピロリ抗原測定を行っております。 両検査ともに感度が高く、侵襲が少ない検査です。 |